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国際人権ひろば No.101(2012年01月発行号)

ヒューライツ大阪の活動

中国・第4回全国人権教育年次会合に参加 2011年10月28日-30日、中国・昆明

ジェファーソン R.プランティリア
ヒューライツ大阪 主任研究員

 10月28日から30日、中国の雲南省昆明において全国人権教育年次会合が開催された。この会合は、2008年より中国の大学の全国ネットワークが開催しているもので、今回が4回目の会合である。開催に際し、スウェーデンのラウル・ヴァレンベリ人権および人道法研究所(RWI)、ノルウェー人権センター(NCHR)、デンマーク人権研究所(DIHR)など北欧の人権センターが、財政面でサポートしている。
 今回は、EU(欧州連合)の「中国人権ネットワーク」の支援によって、私が、中国以外からのリソース・パーソンとして招待された。現地主催校は、雲南大学ロースクール(YULS)であった。
 会合には75人が参加したが、中国全土のロースクールの教員がその多数を占めた。年次会合の諮問グループの元および現メンバーも参加した。また25人が初めての参加であった。この会合の参加者はこれまでで一番多かった。

人権教育および研修の国内拠点

 人権教育に関する中国でのもっとも重要な展開として、人権教育の国内拠点の設立がある。この拠点の役割と活動が第4回会合の主要な議題となった。
 中国社会科学学院のリ・ブユン教授が、人権教育が以前は論争を招くと考えられていたが、それが中国の国内人権行動計画に含まれたことは画期的であるとし、中国の人権教育の国内拠点の考え方として、正規の教育から司法研修に至る様々な教育の形式の一部となるべきであると述べた。教授によると、これは人権教育に対する考え方が変ってきたのである。
 計画では、人権教育の国内拠点が中国の4カ所(北部、東部、南部、西部)の地域の大学に置かれる。
 教育省と中央宣伝部は、2011年に国家人権研究協会の指導のもとに、これらセンターの設置を認可した。それぞれの国内拠点には5人から6人の常勤のスタッフ、20万元(250万円)の予算と事務所(ホスト校が提供)がつけられる。
 国内拠点の活動について、1)初等、中等、高等教育、および公務員の研修のための人権教育の調査研究、2)教科書の開発、3)セミナーやワークショップの開催、4)メディアとの活動、5)人権問題に関する意見の提供の提案が出された。また人権に関する概論や学術的な出版物を制作する計画もある。
 中国内外に助成を行う人権財団を設立する計画もある。国内拠点についてはそれぞれのホスト校が資金援助を行うことになっている。
 現在、3つの国内拠点が、広州大学、中国政法大学(CUPL)、南開大学にそれぞれつくられている。そのうち2つの大学は中国北部にあり、一つは南部にある。それぞれの国内拠点の発展の段階は異なっている。
 国内拠点は3つの大学の人権センターを通して運営されている。広州大学では人権研究センターが2週間の刑務官対象を含む研修活動を行ってきた。
 CUPLの人権および人道法研究所は、研究、研修および管理の3部に分かれている。研修部では、国内外で大学の講座を提供している。
 南開大学のセンターは2005年に設立され、その活動は学術分野だけに限定されない。中国人権協会と共同でプログラムを実施している。この協会は中国政府から支援を受けているので、完全な非政府組織ではないが、人権と現実のジレンマについて本や雑誌を発行している。南開大学は、1948年に採択された世界人権宣言の起草に関わった当時の中国代表のチャン・ペイチュン教授が教えていた大学であり、こうした関わりがあることを誇りに思っている。
 第4回会合は中国における人権教育の国内拠点の役割と活動に関する提案についてのグループ討論の報告で終わった。

その他の大学の活動

 他の大学の代表もそれぞれが実施した人権に関するプログラムを報告した。そのなかには、共産党の党校の人権教育プログラム、公務員のための講座、学部、大学院レベルの講座、中国の外交官のための講座、障害のある人やジェンダーに関する講座などがあった。また人権に関する最新の出版物に関する報告もあった。

(翻訳 岡田仁子)


年次会合の参加者